Cocoのポケット

好きなものでポケットをいっぱいにしたい人のブログです

二重生活

 

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を、観ました。

 

残念ながら映画館の上映期間は逃してしまったけれど、ようやく。

 

 

主人公の女の子は、哲学科の大学院生です。修士論文の執筆に際し、教授にある妙案を勧められます。それが、無作為に対象者1人を選び、尾行すること。すなわち、理由のない尾行。ルールは、対象と絶対に接触しないこと。尾行を通してその人の生活を覗き見することで、見えてくる、明と暗。1人の人間が持つ、秘密と嘘。それは一体何なのか、それが登場人物たちにどんな影響を与えていくのか。理由のない尾行が行き着く先は、何なのか。

 

 主人公に門脇麦。主人公の恋人役に菅田将暉。教授役がリリーフランキーで、尾行対象が長谷川博之。

 

 

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冒頭のこの2人の寝姿が、大変、最高でした…この後の営みも、最高でした…

 

 

って、まず、どうしても言いたかった事を言ってから。笑

 

 

 

 

題材、とても好きでした。人のどうしようもない部分とか、汚いところとか、脆弱なところとか。其れ等をすごく丁寧に描いていて、そういうところが好きでした。所々で映る、人同士のすれ違い。言葉に出来ない心の奥の部分が、表情や仕草で零れ出ていて、けれど決して、相手に伝わることなんかなくて。あぁ、これ、ものすごくリアルだなあ。なんて感じました。

「あぁ今、この人物の心の中では、嵐が起きてる。波が立っている。それが、溢れてきている。」そうやって、感情の存在自体はもの凄く感じるのに、どうしたらいいのかわからない。

そういう私達観客が感じるモヤモヤを作り手側はわかっていたかのように、ラストが作られてた。最後の文章で、くるっ。とつつんで、ひょいっ。と渡されたような気持ちになりました。今までのものは、全部これが言いたくて撮っていたのよ。最後にどうぞ、あなたにあげます。って、突然勝手に渡されて、逃げられた感じ。これを、あざといと言うのかしら。

困ったなあ、私、今から自分でもっと考えなくちゃじゃないのよう。と、苦笑いで言いたくなるような。

 

 

嘘も秘密も、愛の存在の有無の判断も、自分で経験して、自分に突きつけられたものを手掛かりにして生きていくしかないのだなあ。と感じました。

 

 

映画は、「映像や音を通して疑似体験ができるツール」という面でとっても魅力的だけど、主人公の行動と言葉だけでは、足りないこともあるのです。結局のところ、自分が体感して、考えたことしか、実感には繋がらないこともある。ただ、1人の人間の人生を一定期間、切り取って、繋げて、一つの物語にした”映画”は、私達の悩みや苦しみの答えにたどり着くための、手掛かりが隠されているなあ、と思う。

まるで、尾行のようですね。

 

 

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 門脇麦さん、ほんっとうに、ずるいくらいに、主人公でした。なんか垢抜けてなくて、でもどこか大人びたところがあって、頭が良いようで、でもものすごく不器用で、どこかおかしい。いつも孤独とか寂しいって空気が付きまとう、そんな子。

あと、服装が、シンプルで媚びていないようででもちゃんと可愛くて、あー!いる、こういうずるい格好している子!(褒めてます…)という感じでまた、リアル。

 

 

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そしてこの方も今回も、最高でした。好きですー。こういう静かで優しくて、でもなんだか少し面白味がなくて…?や、違うなあ。ある一部の人からしか魅力を感じてもらえない冴えない男の子!みたいな役をやっている菅田将暉さんが、大好きで、彼が演じた中で好きな役トップ3に入る事は、間違いなさそうです…。いつか、村上春樹さんの小説に出てくるあの類の男性の役を、やってはくれないかしら。と、密かに思っていたりします。

あー、すきですー。

 

 

 

 

 

 

観終わってから、今年はたくさん、人にがっかりしたなあ、と、ふと思いました。

それは、どこまでいってもとても悲しいだけのものの時もありましたし、その事実をなんとか理解して受容し、生きる、といった術を学べる機会でもありました。

”がっかりする”というのは、私がその人に勝手に期待して、あなたはこういう人でいて。というような身勝手な感情を押し付けた結果でもあるので、一緒にいたい人に対しては特に、自分の見方が狂っていないかちゃーんと定期点検して、それでも何かモヤモヤと思うときは、どう受容するかを考えて行動しなきゃいけないんだなあと思います。言うのは簡単だけど、実際にはすごく体力と気力を使うし、私はそういった我慢が上手ではなくて、すぐ、根をあげそうになります。ぷんぷん怒って、ぶるぶる泣いた事もありました。受け入れられないことも、まだまだ沢山あります。でも、少しは強く、なれたかしら。まだまだ、だけれど。

 

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生きていく中では、この映画で描かれていたような嘘や秘密は、どうしたって付きまとう。矛盾や、してはいけないことをしちゃう事だって、きっとある。それらが暴かれて、築いてきた関係があっけなく崩れちゃう事だってある。がっかりするし、悲しい。許しがたい事も沢山あるし、許しちゃいけない事も絶対あるんだと思います。

でももう、自分が大事だって認識したものを、簡単に、投げやりに、ぽいっ、としたくないから。潔いのと投げやりなのは、似てるようで全然違うんだ!って、3月のライオンの二海堂も言っていたものね。

「私はなにがあってもずっと、あなた味方だよ!」

なんて直接的で無責任な愛の言葉は吐けないけど、「私はあなたが何をしても受け止める努力を決してあきらめないでやるからね。」という、まわりくどい愛の伝え方は、していきたいです。人によってそれは、逃げや保険みたいに聞こえるかもしれないけれど、今の私のひねくれ加減では、それが精一杯の、素直なのです。

 

どうか、大事なひとにたちに、届けられますように。